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【ボイトレ講師に聞いた】ボイストレーニングにおすすめの本と動画を活用した練習方法は?
  • 2021/07/09

【ボイトレ講師に聞いた】ボイストレーニングにおすすめの本と動画を活用した練習方法は?

歌が上達したい人だけでなく、声を使う職業の人にもおすすめのボイストレーニング(ボイトレ)。

独学や本でボイストレーニングを学ぶ場合、参考にしたほうがいい本などはあるのでしょうか?

また、ボイトレの練習のために動画をどのように活用したらよいでしょうか?

今回はタクプラの人気ボイトレ講師の堺 裕馬さんに、ボイストレーニングを学びたい人におすすめの本や、動画の活用法を教えていただきました。

ボイストレーニング初心者は本より動画を参考に

--ボイトレ初心者が参考にすべき本はありますか?

 歌を成長させていくにあたって、教則本等を読んで知識を深めていくことはとても大切なことですが、歌を始めたばかりの頃にはあまりおすすめしません。

なぜなら歌を始めた最初の頃では、まだ歌声が発達していないため、本に書かれていることと自分の歌声を結びつけることが非常に困難だからです。もちろんある程度歌声が育ってきてから教則本を読むことは有意義なことです。

初心者は指導者に教えてもらったことをしっかりと練習すること、もしくは本ではなく動画等で、レッスンの様子や好きなアーティストを観たり聴いたりすることが、自分の声の成長を大きく助けてくれます。

--動画を見てボイトレの上達につなげるには?

「こう歌いたい」と思う好きなアーティストがいたら、最初は「声を模写」することがとてもいい練習になります。

上達の一歩は「真似する」ことから始まります。

アーティストの歌をよく耳で聴いて、イメージをふくらませて、歌い方、声の出し方、音程など真似して歌うのが一つの練習になります。

こういった練習を重ねていると、色々な歌い方もできるようになってくると思います。



--先生が参考にしたいと思えるような歌手、または好きな歌手を教えてください。

日本人の歌手ですと、尾崎紀世彦さん、玉置浩二さんは歌唱力が非常にしっかりしているので参考になると思います。

クラシックですと、20世紀のイタリア・オペラ界を代表するバス歌手のチェーザレ・シエピ(Cesare Siepi)や、ロシアのバリトンオペラ歌手ディミトリー・ホロストフスキーディミトリィ・アリェクサンドロヴィチ・フヴァラストフスキィ(Дмитрий Александрович Хворостовский, Dmitri Hvorostovsky)が好きです。

レベルアップするためのボイストレーニングの本は?

--ボイトレをレベルアップするためには、どんな本で学んだらよいでしょうか?

ボイトレをある程度学んで、さらにレベルアップを図りたい方は、本での勉強を取り入れるのがおすすめです。

自分は壁に当たったとき、人間の体から出る声というものが「なぜそうなるのか」声が出る仕組みを本できちんと学んだことがブレークスルーにつながりました。

まず紹介するのは、歌を上手に歌うのに必要な「呼吸」について書かれた本です。

『音楽家ならだれでも知っておきたい「呼吸」のこと〜豊かに響き合う歌声のために〜』

著:バーバラ・コナブル 訳:小野ひとみ

指導者、トレーナー、作家、詩人。アンドーヴァー・エデュケーターズの創始者、代表である 「バーバラ・コナブル氏」による本です。

歌に必要な身体の構造、呼吸についてイラストを多用した本でわかりやすく学ぶことができます。

呼吸は、歌を歌う人だけではなく、音楽を演奏するすべての人にとって非常に重要な行為。
人間に本来備わっている精緻な「呼吸」のメカニズムを豊富な図解によって明快に解き明かしており、音楽をするすべての人が知っておくべき情報です。

次に紹介するのは、ヨーロッパの著名な指導者フレデリック・フースラーの発声について書かれた本です。
フレデリック・フースラーは、生理学的ボイストレーニング(ボイトレ) の最高峰、ボーカル理論の聖典を生み出したといわれています。

以下2冊は、声の疑問や、歌う際の身体のより鮮明な解説が書かれている教則本です。
どちらの本も著者は違いますが、2冊の本がお互いに内容を補完し合っているので、レベルアップのためにはどちらも読むことをお勧めします。

『うたうこと 発声器官の肉体的特質―歌声のひみつを解くかぎ』

著:フレデリック・フースラー、イヴォンヌロッド・マーリング 訳:須永義雄、大熊文子

歌うための肉体的資産は誰もが持っており、その天与の能力をいかに開放すべきかを説き明かす本。
経験と感覚に頼っていた従来の声楽指導ではなく、科学的見地から多くの解剖図を使い、喉頭器官と喉頭懸垂筋肉網がどのような割合ではたらくかということによって、多様な音色=声が生まれることを分かりやすく解説しています。


『Singing/Singen/うたうこと―F・フースラーは「歌声」を‘どの様に’書いているか』

著:移川澄也

この本はF・フースラーによって英語で書かれた「Singing」と、そのドイツ語版「Singen」、邦訳版「うたうこと」の3冊を比較検討し、F・フースラーが歌声に関して説いていることを、著者なりの解釈で記しています。

ボイトレをレベルアップさせるための本は専門的な内容も多いので、もし独力で学んでいて少しアドバイスが欲しい、と思ったら、タクプラのオンラインレッスンも試してみてください。

■堺 裕馬(さかい ゆうま)さん プロフィール

東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。在学中に安宅賞受賞。

同大学院修士課程独唱専攻修了。

二期会オペラ研修所第61期マスタークラス修了。

オペラでは《コジ・ファン・トゥッテ》グリエルモ役、《フィガロの結婚》アルマヴィーヴァ伯爵役、《魔笛》パパゲーノ役、《ラ・ボエーム》マルチェッロ役などを演じる。

アンサンブルグループ「アンサンブル・コノハ」のメンバーとしても活動しており、2020年9月にはNPBオフィシャルソング「Dream Park~野球場へゆこう~」のCDがリリースされた。インストゥルメンタルグループ「JPCO」のメンバーとしても活動中。

2021年5月に行われた《二期会創立70周年記念公演》二期会ニューウェーブ・オペラ劇場《セルセ》にエルヴィーロ役として出演し二期会公演デビューを果たした。二期会準会員。